いわゆる「不動産テック」と、不動産業界の今後についての考察

2.不動産テックも結局は価格競争?

さて、不動産テック。

「昔ながらの不動産仲介モデル」業者がよりよい情報を入手して優位に立ち、その物件情報をもとに営業を展開し売り上げを立てるというモデル。これをテクノロジーの力で打破しようと試みる姿勢を不動産テックと呼ぶようですが、そんな『昔ながらのモデルが全滅し、ITを駆使したあたらしい時代に突入するのか』といえばそうではありません。

基本の「物件情報を出して」「営業して」「きめる」が崩れることは無いです。

現状では「不動産テック」などといいながら、やってることはやっぱり大量の物件情報で客を集め、手数料割引で誘引するやり方を取っています。手数料割引の根拠はIT活用であまりコストがかからないから、というのがどこも言い分です。

しかしながら、ITだからコストはかからない、というのはやや誇張の表現であって、そもそも仕入原価のない仲介の場合は、事務所費や人件費などの諸経費は大きく変わるものではなく、従来の不動産業者に対して著しくコストが削減できるか、といえばそんなことは無いはずです。

ではなぜ手数料が安くできるのか、といえば、そもそも他業界からみて「手数料が高い」と思われてるからです。
接客対応単価をはじいてみるとわかりますが、1客あたりの接客対応単価はかなり高めです。
(もちろん、高額商品提供・サービスゆえ客数がすくないということもあるのですが)

もちろん、高い・安いの概念はひとそれぞれです。サービスに見合い、仲介リスクもとり、手厚く顧客をサポートして、顧客が喜んで払ってくれるならそれは「高い」とはなりません。

ただ、経営数字的に見た場合、原価のかからない分、一人当たりの労働生産を考えてペイできるなら「どこまで安くできるか」というのは新規参入を目論む業者なら誰しもが考えることでしょう。勝つために。
モノの値段が逓減(だんだん安くなる)の方向に向かうのは、世の常といいますか、これは資本主義の宿命でもあります。
我々だとて、一個人としてそういう世の中の利便にあやかって昔よりはるかによい生活ができています。

八百屋がつぶれ、魚屋がつぶれ、本屋がつぶれ、最後にのこった不動産屋こそいままで幸運だったというか、資本主義の価格競争の波に飲み込まれなかった稀有な存在だったのです。

ただ、ここに来て、その未価格競争状態に競争を仕掛けるがごとく、新規参入も始まっています。
それが先の不動産テックでしょうし、今年話題になりましたソニー不動産などもソニー損保よろしくかかった分だけという料金体系です。

 

>>3.不動産業へのIT企業の新規参入 へつづく

 

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