【空家問題】全国初の行政代執行と、「使える?」空家の数発表について

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今年5月に施行された「空家対策特別措置法」に基づき全国初の行政代執行が行われました。
横浜市は所有者不明で当会の恐れがある横須賀市東横渚の木造住宅(床面積約60㎡)を行政代執行による撤去(解体作業)をはじめました。

横須賀市:老朽危険家屋を空家等対策の推進に関する特別措置法により除却します(市長記者会見) (2015年10月21日)

NHK:WEBニュース 所有者不明の空き家を取り壊し 神奈川
TBS News-i 横須賀で全国初の空き家取り壊し、特措法の行政代執行
日本経済新聞: 横須賀市、倒壊恐れの空き家解体 特措法で全国初

時同じくして、広がる空家問題について、国交省より以下のような発表も出されました。

国土交通省は26日、全国の空き家(約320万戸)のうち、鉄道駅から1キロメートル以内にあり、簡単なリフォームで利用できる家屋が15%の約48万戸に上るとの推計をまとめた。今後、少子高齢化を背景に行政や医療などの機能を中心部に集約した町づくりを進めるうえで市街地などの空き家を有効利用していく。~日本経済新聞「駅から1キロ以内の空き家、48万戸が利用可能 国交省推計」より

同じく、時事通信は記事タイトルで「「使える」空き家48万戸=全体の15%-国交省推計」としています。

ただ、「駅から1キロ以内」が「使える」という、そういう発想がそもそも都会的だなと問題のズレをやや感じます。

急速に広まる空家問題は深刻であり、今回の行政代執行でようやく問題対処へ1歩踏み出したばかりです。
空家とはそもそも放置された家であり、放置されるには理由があります。人が意思を持って家を放置してどこかに去った、というパターンよりも、親が死去し実家が空家になった、というパターンが多かろうと思います。
筆者も身近に、相続で揉めてそのうち当事者も亡くなりうやむやになったまま放置されている祖父母の空家があります。
この筆者の様なパターンの場合、名義が故人のままであり、当事者間での調整も取れないまま死去していき、孫の代になってしまったらそのような問題の存在すら知らず、あとから話を聞いても怖くて判子は押さない、つまり解決できないということもありうるでしょう。(子が都会へ出たパターンでは、孫の代あたりになると人間関係すら断絶している場合も少なくありません。)

つまり空家問題で、今回の横須賀のように、倒壊等によって現実的に困るようなことが起こるなら、もはや「行政代執行」以外に打てる手はない、ということになります。

総務省の調査によると「総住宅数は6063万戸と,5年前に比べ,305万戸(5.3%)増加」とのこと。
また、野村総研は「2023年空き家率が21%になる」可能性も示しています。

都市部への人口集中は世界的に見られる現象かつ太古からの人口流動のサガであり、これらを抜本的に解決する方法はありません。
唯一の救いはわが国は生活インフラ・道路がしっかりしており、なおかつコンパクトであることです。もちろん他国にない安全もあります。たとえば、広島から岡山まで夜道を車で走っていて強盗に襲われることなどほとんどないでしょう。のどが渇けば自販機があり車が壊れればロードサービスだって着てくれます。
このような世界に類を見ない「便利」を活用しながら、うまく人の流れる都会との連携・バランスをとりながら、地方再生を目指していく。そうした「地方再生」という基盤がしっかりしないことには「空家問題」の本質的な解決は難しかろうと思われます。

空家問題は、模索が始まったばかり、今後も政府の対応・民間サービス出現などをウォッチしていきたいと思います。

 

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