【不動産ダイジェスト】

年末に“後藤論文”を読んで

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不動産流通ジャーナル/95年12月15日号

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 今号は今年の最終号になるので、不動産流通業界の1年間の動きと96年の展望を述べるつもりでいたが、“総括と展望”は新春号に譲ることにして、ここでは『エコノミスト』の12月12日号に載った「消えた商業地の需要/発想を転換しないと東京の地価下落は理解できない」という論文を紹介し、1年間の締めくくりにさせていただきたい。
 筆者は、後藤不動産(株)の後藤 晃社長(不動産鑑定士、東京都宅地建物取引業協会文京区支部長)で、氏は「都心部周辺地域のオフィスビル需要は幻だった。身動きのとれない土地を流動化させるには、大胆な法改正も考えられてよい」と実務家の立場から提案している。

 さて、その提案の内容だが、後藤社長は土地の持つ居住需要要因に着目し、現在の土地利用で商業地域の高度な容積率を生かしうるのはマンションだけであると分析した上で、都心部地域の土地を流動化させるためにはマンション利用にありつけない商業地の法的な許容容積権の売買を可能にする──というゾーニング制度の改革を提案している。
 ところでこの論文が注目されるのは、土地の流動化というと政府の財政出動や税制改正が声高に叫ばれている中で、実務家としての立場から流動化を具体的に提案していることだ。
 紙幅の関係で、提案の具体的な内容については論文を一読していただきたいが、マンション価格=土地の収益価格という理論でいくならば、96年は都心のそれも千代田区や中央区、あるいは港区などで大量のマンションが供給されてくるはずだ。
 この予測は私見だが、後藤社長は今後の地価見通しについて「需要値(収益価格)まで下落する」として、「神風が吹かない限り、今後どんな景気浮揚策を続けても、地価下落の趨勢は厳然として進行していくのである」と論文を結んでいる。

 ところで、地価が下落して需要値まで下がってくることは、資産マイナスという点を除けば、今後の事業展開にとって悪いことではない。96年は、地価は底値気配に入り、そこでは新しい事業の展開が大きく拓けてくることになるだろう。
 今年も熱心なご購読、大変にありがとうございました。


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