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住宅産業のインターネット戦略/97年6月号 | |
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| このレポートは、(財)土地総合研究所が季刊で発行する『土地総合研究』の97年春号に寄稿した「住宅・不動産業のインターネット対応戦略」を、同研究所の許可を得て当ホームページで公開するものである。 全体の構成は以下のようになっているが、このコーナーでは「3.住宅産業の対応戦略について」と「4.まとめ」を掲載した。「1.はじめに」と「2.不動産業の対応戦略について」は、「不動産業ニュース/97年6月号」に掲載している。 また、『土地総合研究』のほうでは関連資料も掲載しているので、そちらも併せてご覧いただければ幸いである。 1.はじめに(不動産業ニュース/97年6月号に掲載) |
(1)インターネット活用の現状住宅産業のホームページ開設数は、(株)不動産データ&ジャーナル社が97年1月現在で調べたところでは、「メーカー・工務店・輸入住宅など」が173件で、不動産業の618件に比べるとまだ数は少ないが、「建設・建築士」の150件、「リフォーム・各種工事」の103件、建材・住宅設備機器など「関連産業」の468件を加えると、合計で894件となり、裾野の広い分布になっている。
そして、こうした各分野のホームページを見ていくと、業界の実態や技術開発の現状、新商品情報などが手に取るようにわかるのが特徴である。
住宅産業は、不動産業におけるマンション分譲や戸建て住宅・土地の販売に比べて、住宅の工法や構造がバラエティに富み、メーカー住宅と言ってもオーダー的な部分が多い。これにともない、住宅設備機器の選択やカラーコーディネートなどが発生してくる住宅建設のユーザーにとっては、ホームページから提供されるこうした情報は“宝の山”であろう。
住宅産業におけるユーザー向けのホームページを中心にしたインターネット活用の現状は、次のような動向を見せている。
1)民間団体系の広報活動
- (社)住宅生産団体連合会=住宅産業関係の構成7法人やそこに参加する住宅企業や設備・建材企業、関連機関や団体にもリンク。発表ニュースなども掲載。
- (社)プレハブ建築協会=参加企業へのリンクのほか、住宅建設戸数などのデータも公開。
- (社)日本木造住宅産業協会=木造軸組工法の魅力や高耐久性木造住宅を紹介。アクセス数が1万人突破の人気ページに。会員企業にもリンク。
- (財)ベターリビング=住宅と住宅部品の評価・認定事業に関するさまざま情報を提供。
2)住宅メーカーのページ
- プレハブ・木造軸組工法などの住宅メーカーおよび販売会社、有力工務店のほとんどが、ページを開設している。
- 提供情報の共通項は、企業PRから商品ラインナップ・カタログ一覧まで。
- また、構造から基本性能、プラン・価格、生産工場から研究所、技術研究テーマなど詳細な情報を公開しているところが多い。
- こうした各社のページを閲覧するには、(社)住宅生産団体連合会や(社)プレハブ建築協会、(社)日本木造住宅産業協会などのリンク集を入口にすると便利である。
- なお、(社)住宅生産団体連合会のホームページによると、住宅企業へのリンク先は、97年5月現在で35社にのぼっている。
3)2×4住宅のページ
3)輸入住宅のページ
- 各社とも、2×4住宅の魅力をPRしながら商品ラインナップ・カタログ、展示場などを案内。
- 2×4のルーツを探るカレッジを開設しているところもある。
- 輸入住宅は、住友不動産ホームのような北米型2×4住宅だけでなく、輸入先国を見るとフィンランド、デンマーク、イギリス、ドイツ、アメリカ、カナダ、オーストラリアなど各国に広がってきている。
- 直輸入・直施工によるコストダウンをPRしているものが多い。
- 高気密や健康住宅への対応を謳いながら、各社とも商品カタログの案内などを行っている。
4)設備・建材のページ
- (社)住宅生産団体連合会のホームページによると、住宅企業へのリンク先が97年5月現在で35社であるのに対し、設備・建材へのリンク先は27社となっている。
- YKKアーキテクチュラルプロダクツなど、設備・建材の各社が提供する商品情報や生活情報、技術情報などは膨大なものであり、その内容も目を見張るものが多い。
- こうした情報公開は、ユーザーにとって“ショーウィンドウの役割”を果たすだけでなく、住宅企業にとっては“仕入れ先情報”として大いに役立つものであろう。
さて、住宅メーカーのホームページ開設は、商品ラインナップやカタログの紹介のほか、実際の展示場に代わる「バーチャルな展示場」によっていかに集客を図っていくかという大きなテーマがある。ホームページでの展示場展開は別項(後述)で見ていく事にして、ここでは次に、住宅産業が今後取り組むべき課題がホームページにどう反映されているかをチェックしてみる事にしよう。
(2)今後取り組むべき課題住宅産業は、96年10月に改正された住宅 金融公庫の「基準金利適用住宅」として、という3つの条件が示された事で、“質の向上とストック重視”の新しい時代へと入ってきているが、今後取り組むべき課題などがホームページでは、次のように展開されている。
- 断熱・省エネルギー(あるいは環境共生)
- バリアフリー(あるいは高齢化対応)
- 高耐久性(あるいは50年・100年住宅)
1)商品コンセプトの向上
2)バリアフリー/高齢者住宅
- 積水化学工業/住宅事業本部=安全性、材料、生産・施工性などの研究テーマを公開。新商品情報では、太陽光発電システムから基本性能までを紹介。
- 積水ハウス=快適性の向上と環境共生をめざした「生涯住宅」を提案。基本性能向上、環境調和、生活価値創造などの技術も紹介。
- ナショナル住宅産業=「健康快適住宅」を提案。「ふれ合い」「健康」「人間形成」「環境」の4つのテーマも紹介。
- 三井ホーム=「20年保証システム」や「長寿社会住宅」を提案。
3)健康住宅(シックハウス)
- 総務庁/高齢社会対策室=わが国の高齢者社会対策に関する情報ソース。高齢者の意識調査などを掲載。
- バリアフリー協会=高齢者・障害者の生活環境を広げていく事を目的としたバリアフリーを考えるページ。
- 長寿時代の気くばり住まい/Q&A=東京ガス・ホームページのコーナー。「高齢化時代の住まいと設備」をガイド。
4)免震・防災住宅
- シックハウスを考える会=建材などによる室内環境汚染を考えるページ。
- 健康住宅については「健康輸入住宅」、「環境共生住宅」や「エコロジカルリフォーム」、「国産材を使った健康住宅」の紹介など、ホームページでの情報提供も豊富になってきている。
- 神戸大学地震情報センター=阪神大震災調査団の被害調査報告書を全文掲載。
- 阪神大震災を記録しつづける会=災害の恐ろしさを改めて考えさせられるページ。
- (社)日本木造住宅産業協会=地震に強い「高耐久性木造住宅」を紹介。
(3)展示場に代わる集客活動住宅メーカー・工務店などが、実際の展示場、新聞広告などに代わってホームページ上の展示場で集客を図ろうとする試みには、すでに開設している総合展示場の案内、バーチャル展示場の開設――という2つの流れがある。
また、住宅メーカーの間では最近の新しい流れとして、主力商品については個別に「バーチャルモデル住宅」を開設して、現地を訪ねる事なくモデル住宅の中を実際に歩き回っているかのように3次元の画像で仮想体験できるものなども登場してきた。
1)総合展示場案内
2)バーチャル展示場
- 日本経済社/housing=全国の展示場ガイド。「家を建てるぞ」コーナーでは、計画段階から引っ越しまでをフローチャートで案内。
- ABCハウジング/東宝・成城住宅公園=都内最大級(29棟)の住宅展示場。環境共生など、今後の家づくりに必要となるさまざまなステージを紹介した未来型展示場のページ。各社のホームページへリンクしている。
- 名古屋営林支局/国有林へようこそ=富山、岐阜、愛知の国有林28.5万haを管理する名古屋営林支局のホームページ。「ウッディランド名古屋」では、住宅展示場・暮らしの木材展示館などを紹介。「白鳥ハウジングセンター」の木造住宅展示は圧巻である。
3)バーチャル住宅
- 住まいの里=木造軸組み、2×4、プレハブなど工法別展示で、メーカー住宅を案内。
- 博報堂・リブアーツ/バーチャル住宅展示場=住宅メーカーの商品をラインナップ。住まいに関する情報も提供している。
- セキスイツーユーホーム東北=バーチャルな展示場で、商品の特徴などを案内。
- エイアンドスリーエム・ジャパン=住宅バーチャル見学会では、3つの国別スタイルからカタログによる注文が可能。
(4)マルチメディア対応住宅以上のようなインターネットへの対応と並んで、住宅産業でも来たるべきマルチメディア時代に向けて、ハード面のインフラ整備として情報化配線などの技術開発が進められようとしている。
パソコン、インターネット、CATV、デジタル衛星放送などのマルチメディアを使いこなすための「住宅情報化配線(HII)」が、住宅情報化推進協議会によってすでに示されている。
また、こうした動きを受けて、住宅メーカーの間でも「マルチメディア住宅」を開発しようとする動きが活発になってきた。
ここでは、マルチメディア対応住宅の開発動向を簡単に眺めておく事にしよう。
1)住宅情報化配線とは
- 「情報化配線」は、住宅を建てた後では変更・追加ができない。
- そこで、まず情報の受入れ口として、「情報分電盤」を設ける。
- 次に、「同軸ケーブル2本」、「4Pツイストペアケーブル」を配線し、各部屋に「情報コンセント」(前述)を設ける。
- さらに、「希望のTVアンテナ」を設け「電話回線」を引き込むと、「マルチメディアの利用環境」が出来上がる。
2)マルチメディア住宅
一例をあげると、積水化学工業・住宅事業本 部では、マルチメディア住宅の開発に本格着手し、97年10月にも新築住宅の入居者を対象にしたサービスアプリケーションの実用実験をスタートさせる計画である。
秋からの実験では、次のような内容が予定されている。
- 一戸建て住宅購入者の中から100〜200人のモニターを募集する。
- ISDN(総合デジタル通信網)端子と電話端子がセットになった「情報コンセント」と、「端末機器モニター」を室内に設置して情報サービスを行う。
- 情報サービスの内容は、健康・介護相談、住宅の維持管理とリフォームなど。
- 双方向の画像情報端末を使って、互いに情報のやり取りができる仕組みになっている。
(1)ホームページによる情報収集企業によるホームページ利用の目的は、物件情報を公開したり会社の商品PRを展開する事によって、少しでも営業促進に結びつけたいというのが本音であろう。
しかし、もう一つの利用の仕方として、ホームページで公開されている情報を、今後の企業活動や企画のためにどう役立てていくかという事も重要になってくる。
ホームページが急増する中で、最近では知っておくと便利な情報も随分と多くなってきた。
ホームページはその覗き方・利用の仕方によって、限りない可能性を企業や個人に与える事になるだろう。
(2)どう取り組むべきかところで、インターネット・ホームページへの取り組みがまだのところは、今後どのように対応していったらよいのだろうか。ここでは、大手会社と中小企業とに分けて、その対応のポイントを見ていく事にしよう。
1)大手会社の対応
大手会社の対応としては、インターネットだけでなくイントラネットなど企業内ネットワークの構築もすでに進行中であるが、ここではホームページの展開に限定して見ていくと、ページの制作・運営に当たっては次の諸点(もちろん、これは中小企業の場合にも当てはまる)に留意すべきであろう。
- 優れたデザイン性=グラフィックス・文字のバランスやデザイン的な美しさなど見る人に好感を与えるか。
- 適切なページ構成=見やすく、わかりやすい構成になっているか。
- 適切なレスポンス=ページの読み込み速度が適正な範囲内か。
- 豊富な情報量=量だけでなく質的にもたくさんの情報を提供しているか。
- 有益性=見る人の役に立つ情報が掲載されているか。
- 情報の公開性=開設者の姿勢・意見、企業動向、最新ニュースなどを広くアピールしているか。
- 速報性=常に新しい話題やニュースを取り入れているか。定期的な情報の更新を行っているか。
- 双方向性=オンライン・サービス、電子メール対応など、インターネットの持つ双方向性を生かしているか。
- オリジナリティ・斬新さ=他のページにはないユニークな工夫を行っているか。
- 娯楽性=見る人が楽しめる要素はあるか。
2)中小企業の対応
中小企業――とくに小事業者にとっては、ホームページの開設は社内改革の絶好の機会だと促えるとよいかもしれない。
なぜならば、ホームページの開設には次のような過程が必要になるからである。
こうした業務のすべてを代行してくれるサービス会社もあるので、外注する事も可能だが、それでは単にホームページを作ったというだけに過ぎない。
- パソコンなどのハード機器の準備とプロバイダーの選定。
- ホームページに掲載する内容の検討と制作の発注。
- ハードの保守と掲載情報の内容メンテナンス。
- 電子メールなどユーザーアクセスへの対応。
上記した一連の作業を社内で行う事で、その会社は新しい体制に移行するきっかけをつかみ、作ったページとインタ−ネットを全社員が上手に利用する事で、会社全体の大きな意識改革が期待できるのである。
(3)SOHO時代到来の予感さて、インターネットやパソコン通信など情報通信網の発達によって、今後急速に会社の勤務形態が変わるのではないかという兆しが見えてきた。
テレネットワークとパソコンなどの端末機器を使って自宅や小さなオフィスで仕事を行う新しい形態を「SOHO」(Small Office/Home Officeの略)と呼ぶが、編集という仕事の現場でも最近はこの“SOHO現象”が目立ってきている。
例えば、原稿を依頼する場合にこれまでは電話かFAXを使っていたものが、今では電子メールで依頼。出来上がった原稿も電子メールかインターネットの情報転送形態の一つであるFTPで送られてくる。
編集部では、これをチェックしてやはり電子メールかFTPで印刷所に送ると、印刷所ではこれをDTP(電子編集機能)にかけて製版をしてくれるのだ。
こうした作業がすべて在宅勤務として行われるのが「SOHO」(「在宅テレワーク」とも呼ばれている)だと考えると、わかりやすいだろう。
ところが、日本ではこうした「在宅テレワーク」や「SOHO」を自宅で行おうとした場合に、現在ではワークスペースや電源コンセント、電話端子やTV端子などの不足が目立つ。
今後の住宅・不動産業の展開では、マンションや住宅を供給する場合に少なくても「情報コンセント」(電源コンセント、TV端子、電話端子が1セットになったもの)ぐらいの設置は最低限でも必要になってくるだろう。
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