ようこそ 【不動産・住宅ジャーナル】

不動産業のインターネット活用/最前線と2000年への展開

『不動産・住宅ジャーナル』10周年記念/特別企画



  <8>最前線から2000年へ/21世紀への戦略的な展開を 
不動産業のインターネット活用/Eラインを越えて


(1)業界はEラインを越えられるか!
NAR と NAHB の最新動向/中古と新築市場が連動
(2)TからEへ/転換しながら頑張ろう!
沿革/不動産業界のインターネットへの取り組み
“Eライン革命”を進めよう!
マンション分譲でEライン革命/大京
不動産業でも認証サーバー機能の活用が課題に
(3)逆転もあり得るインターネット勝利の法則
(株)タックス本部/「car24」を設立
米国「eベイ」に迫る巨大オークション・ネットワーク
アマゾン・ドット・コムのBooksサービス


(1)業界はEラインを越えられるか!

 インターネットの普及による今後の不動産業および不動産市場の変革を予想する時、“Eライン”という言葉がキーワードになりそうだ。
これは、99年2月に米IBMの経営戦略策定部門が発表した資料の中に登場したもの。IBMではその後、<e-business>と言うコンセプトのCMを全面展開している。

 ▽インターネットの向こうに1億人のマーケットが拡がる
 http://www.ibm.co.jp/e-business/ecfpr/index.html

 Eとは、EC(エレクトリック・コマース=電子商取引き)などに代表されるエレクトリック対応戦略の全体を意味するが、それを事業展開の中に組み込むかどうかによって、今後の生長力が決ってくる。
 “Eライン”というのは、言葉をかえればECを舞台に活躍する企業群と、従来からの伝統的(Traditional)な企業群との間の“境界線”のようなものである。

 IBMによれば、“Eライン”を越えた企業は、インターネットを駆使した新しいビジネスモデルを構築する事で、既存のコスト高企業を急速に脅かしてくる。
 そうした企業として、代表的なものを1つだけ上げれば書籍のネット販売で急成長した米国アマゾン・ドット・コム(98年からはサービスの領域を本だけでなく、CD、ソフトウェア、ビデオ、ドラッグにまで広げている。現在の無視できない赤字経営の継続と、一方で約束されているかのようにも見える明るい将来については、ここでは触れない。Booksに焦点をあてたサービス内容については後述)がある。

 そして、証券大手のメリルリンチも、株式のオンライン取引には進出を否定していたが、Eトレードの台頭を無視できず、ネット取引に本腰を入れ始めている。
 アメリカでは、ネット経由で購入される新車の販売台数がすでに40%を超え、自動車販売情報仲介業の最大手、オートバイテル・ドット・コム社(カリフォルニア州)の日本法人「オートバイテル・ジャパン」がすでに活動を開始している。99年11月から新車の販売を開始し、続いて中古車販売仲介サービスも開始する予定だ。

 また、日本でも、99年10月からは手数料の自由化にともなう証券各社によるEトレードが開花し、ネットをフル活用した株式の短期売買を行う個人トレーダーが、急増している。


● NAR と NAHB の最新動向/中古と新築市場が連動
 NAR(全米リアルターズ協会) http://www.realtor.com/
 NAHB(全米ホームビルダーズ協会) http://www.homebuilder.com/
 『Homestore.com』/NAR&NAHB http://www.homestore.com/

 そうした中で、不動産業の動きを見ておくと、アメリカでは中古住宅流通のWebサイト『REALTOR.COM』(NAR=全米リアルターズ協会が運営)と新築分譲の「Home Builder.COM」(NAHB=全米ホームビルダーズ協会が運営)とが巨大サイトに成長し、両サイトを運営するサポーターが1つの会社
( RealSelect, Inc. http://www.realtor.com/AboutRS/default.asp#top )であることから、“Big2”の連携サイト『Homestore.com』( http://www.homestore.com/ )が実現し、今では全米の住宅ユーザーを1カ所に集める事に成功している。

 日本でも、これまで見てきたたように物件情報を公開するコンテンツサイトと多数のユーザーがアクセスしてくるポータル(玄関)サイトとの連携が慌ただしい動きを見せ、中古住宅と新築分譲、それに賃貸情報が1つのサイトから選択できるようになってきた。
 新しい不動産市場の形成に向けた“Eライン革命”は、間近かに迫っていると言えるだろう。


(2)TからEへ/転換しながら頑張ろう!

 ここで、1989年10月に不動産市場の改革をめざして創刊された『不動産・住宅ジャーナル』10年の歩み(98年5月まで『不動産流通ジャーナル』として発行)を簡単に振り返ってみると、1989(平成元)年10月の創刊から95年の秋までは主として“不動産流通市場の改革”を訴え、最近の4年間はインターネットの活用による“不動産市場の発展”に向けた“旗ふり役”を果たしてきたと言えるだろう。

 ▽『不動産・住宅ジャーナル』/バックナンバー
 http://www.fdj.com/fjj/index.html

 ▽今月の住宅・不動産業ニュース/FDJ社『メールMAGAZINE』
 http://www.fdj.com/jf-news/index.html

 “95年の秋”と言うのは、住宅・不動産業にとっては先駆的ないくつかの企業によって企業PRを主な狙いとしたホームページが開設され、インターネットの初期的利用への挑戦が開始された年であるが、『不動産・住宅ジャーナル』の転換となった同年秋から年末にかけては、次のような特集記事が目につく。

<1995年> △10月1日号=不動産・建築関連専門のホームページが始動!/三井不販・かろりーな(株)のホームページを覗く △11月1日号=米国ルポ/米国に学ぶ不動産ホームページの運営方法、2時間で覗いた衝撃の不動産業界 △11月15日号=米国ホームページの現状/NARもついに情報を公開! △12月1日号=FDJ『不動産情報パノラマ』を創設。

 わずか4〜5年前に、こんな時期もあったのである。


●沿革/不動産業界のインターネットへの取り組み
 “95年の秋”以降の住宅・不動産業界のインターネットへの取り組み状況は、次の3期に区分するとわかりやすいものになるだろう。

第1期/1996年〜97年まで <第1世代=導入期>
ホームページが、主として企業をPRするために利用されていた時期。
第2期/1998年9月頃まで <第2世代=普及期>
多くの企業が、ホームページをどのようにして営業活動に結びつけていくかを模索していた時期。
第3期/1998年10月頃から今日まで <第3世代=発展期>
新しいホームページ時代が始まる。インターネットユーザーが成熟し、かつ新しいユーザーも増え、一般ユーザーがホームページと直結し始めた時期。



●“Eライン革命”を進めよう!
 さて、今後の方向についてのとりまとめであるが、いま<TからEへ>と言うキャッチフレーズを考えている。
 <T>は、Traditional。従来からの伝統的な企業群であり、伝統的な業態。不動産業も現在はこの範疇に入る。そして<E>とは、EC(エレクトリック・コマース=電子商取引)などに代表されるエレクトリック対応戦略の全体を意味する。

 <T>と<E>を、分けるのは“発想”と“コスト”と“スピード”である。
 そして、この“Eライン”を越えた企業は、インターネットを駆使した新しいビジネスモデルを構築する事で、既存のコスト高企業とこれまでのトラディショナルな不動産業の業態を急速に脅かしてくることになるだろう。

マンション分譲で、“Eライン突破”に挑戦しようとしている企業の例を見ておく事にしよう。


●マンション分譲でEライン革命/大京
 大京は、インターネットを利用したマンション販売を強化するため、2000年3月末までに専門の営業部を設ける方針だ。
 同社のインターネットを通じた成約件数は、99年4月から9月まで上半期で427戸、147億7,160万円と前年同期比3.5倍の伸びをみせ、前年度通期(平成10年4月1日〜11年3月31日)の実績(309戸、111億2,652万円)を大幅に上回ったためだ。
 現在、27人の担当者を99年末には50人前後まで増員し、99年3月末には100人体制にする。
 この時点で、営業推進部にあるインターネットチームをインターネット営業部(仮称)にして、2000年度には2000戸、800億円規模をインターネットを通じて販売する方針だ。


●不動産業でも認証サーバー機能の活用が課題に
 それでは、不動産業が“Eライン革命”を越えて体質を改善していくための課題は、何なのだろうか。

 インターネットの活用は、不動産業に限らず一般ユーザーから見た場合、ホームページを開設する「WWWサーバー」、電子メールをやり取りする「メールサーバー」、それに電子商取引き(エレクトリック・コマース=e-commerce)を実現する「認証サーバー」の3つが基本となる。

 今後は、こうしたホームページ・電子メールなどの機能によってポータルサイトや企業のWebサイト上に形成されたコミュニケーション(あるいはコミュニティー)をベースに「認証サーバー」の機能をどう活用して行くかが、不動産業界がインターネットを実用化し、それによって不動産業の体質を新しい地平に導くための課題になってくるだろう。


(3)逆転もあり得るインターネット勝利の法則

 ところで、全般的に新しい市場創造に向けた熾烈な競争が続くインターネットを武器にしたシェア獲得戦争の段階を測定するとき、「出現期」「混沌期」「淘汰期」「コンセンサス期」「成長期」というモデルがよく使われる。

 各期の特徴は、次のようにまとめられる。

出現期=時代の大きな流れの中から、市場になりそうだという領域がおぼろげながら見えてくる。
混沌期=そして、その領域に、さまざまな考え方を持った人たちが参入する。しかし、ビジネスモデルを描けないままの状態がしばらく続き、顧客を混乱させる。
淘汰期=インターネットという世界の変革は速く、すぐに参入者の中から敗者がでてくる。これは、インターネットの世界への参入にはこれはと言った障壁がほとんどなく(実際にはあるのだが)、安易な参入ができるため敗退もまた早いのだが、次の段階としては、勝者への道が開けてくる。
コンセンサス期=ユーザーに受け入れられる事業モデルがほぼ固まり、競争からビジネス段階に入ってくる。
成長期=顧客は大きく拡大するが、製品やサービスを提供する企業の数はしだいに絞られてくる。

 さて、これまで繰り広げられてきたこうした市場創造ゲームを目のあたりにした時、注目しておいて頂きたいのは、勝者と敗者が目まぐるしく入れ代わり、1人の勝者の後にはその予備軍が、そしてまた敗者の後にもその予備軍が必ず存在している事である。
 しかしまた、新規参入者や敗者がすぐに劣勢を巻き返し、一発逆転もあり得るのがインターネットの魅力的な世界でもあるのだ。

 ここでは、そうした市場力学の中で挑戦する企業の姿を、3つだけみておく事にしよう。


●(株)タックス本部/「car24」を設立
 http://www.arcs.ne.jp/car24_store/index.asp
 米オートバイテル・ドット・コム社 http://www.autobytel.com/
 オートバイテル・ジャパン(株) http://www.autobytel-japan.com/
 米MSN CarPoint社 http://carpoint.msn.com/
 カーポイント(株) http://www.carpoint.ne.jp/
 インターネットを利用した自動車販売の仲介サービスで先行しているのは、米最大手のオートバイテル・ドット・コム社にリクルートや伊藤忠商事が資本参加して設立した「オートバイテル・ジャパン」(99年11月からサービスを開始)と、米マイクロソフト社が出資しているソフトバンクグループのカーポイント(株)(やはり、99年11月からサービスを開始)である。

 そうした中で、全国中古車販売店のチェーン本部である(株)タックス本部(東京都練馬区、西村洪太社長)は99年10月に、慶応大学政策・メディア研究科の中島教授と共同出資でインターネットによる新車・中古車の売買情報仲介サービスを行う新会社(株)car24(本社・東京都豊島区、平田昭夫社長)を設立した。
 当初の資本金は2,000万で、設立後に政府系ベンチャーキャピタルやその他の提携法人からの出資を予定している。

 新会社(株)car24は、CSKグループ(大川 功会長)のEC事業を担うアスキーイーシー社との強力な提携関係に基づく広範な業務委託関係を結ぶ。これに基づいて、アスキーグループが主宰するECサイト「e-sekai」( http://www.e-sekai.com/car/ )およびアスキー社が運営を行っているECサイト、arcsのクルマチャンネル「ドットcar24」( http://www.arcs.ne.jp/car24_store/index.asp )の運営を行う。その関係から、アスキー社が商標権を所有するcar24ブランドを新会社の社名とした。

 さらには、住友商事グループのポータルサイト『Lycos』(ライコス)とも協力関係を結んで運営を開始する。また、他のポータルサイトとも協力関係を築いて行く考えである。

 経営スタンスとしては低価格のみをうたう新車ディスカウンターとは一線を画し、ユーザー、ディーラーの双方に極大のメリットを提供する正攻法の販売手法を取り入れる。事業戦略としてはメーカー・ディーラーのインターネット事業と補完関係を保ちながら相乗効果をもたらすサービスの提供を行う。

 米国の2大ネット仲介事業者が99年11月からサービスを開始すると宣言している中で、(株)car24はそれらとはひと味違ったサービスを提供して行きたいとしている。


●米国「eベイ」に迫る巨大オークション・ネットワーク
 eベイ http://www.ebay.com
 FairMarket http://www.fairmarket.com
 インターネットによる新しい市場形成では、Yahoo! JAPANでも「Yahoo! オークション」を開始したように、オークションの人気が高まりつつある。
 アメリカでは、「eベイ」(99年9月現在で約280万点出品)と「Yahoo」(同約72万5,000点)が2大勢力になっいる。

 そうした中、米国では99年9月、最大手の「eベイ」に対抗すべくポータルサイトや有力ECサイトを一つのデータベースで接続した巨大な「フェアマーケット・オークション・ネットワーク」が誕生した。

 フェアマーケット(FairMarket)社( http://www.fairmarket.com )が運営するこのネットワークには、マイクロソフト、エキサイト@ホーム、ライコス、TMCS(チケットマスター・オンライン・シティサーチ)、デル・コンピュータなど、大手のポータルや人気のあるECサイトが参加を表明している。

 97年に発足した同社(独自にオークションを開設していて、こちらの出品数は約7万点)は、WWWサイトにオークションを導入しようとする企業に、ソフトウェア・プラットフォームとアウトソーシングによる運営サービスを提供。それが、2年あまりで100を越えるサイトに採用され、今回の巨大オークション・ネットワーク構築を実現する下地となった。

 このネットワークでは、オークションにかけられる品物がどのサイトから登録されたのかに関係なく、同社のプラットフォームを採用した共通のデータベースで管理されるため、ユーザーはネットワークに参加するどのサイトからでも、同一市場として機能するオークションに参加できるのが特徴だ。

 それでは、ネットワーク方式よるオークションの最大のメリットは、どこにあるのだろうか。
 それは、多数のサイトを連合したシナジー効果による規模拡大の実現である。
 オークションに参加する売り手と買い手とに分けてその効果と利点を考えてみると、出品する売り手にとっては、参加するユーザーが多ければ多いほど値が上がって品物が高く売れるようになってくる。

 一方、買い手のユーザーにとっては、品物が豊富であればあるほど魅力的なオークションになってくるであろう。多数のサイトが参加するネットワーク方式のオークションでは、この2つが同時に実現し、結果としてより多くの売り手と買い手が集まってくるようになるのである。

 そしてなぜ、規模拡大が重要であるのかと言えば、すでにインターネット・オークションの分野で6〜7割の市場シェアを占めるといわれている最大手の「eベイ」( http://www.ebay.com ) や、先行するYhoo!などに対抗するためには、ネットワーク方式のシナジー効果に期待するしか方法がないからだ。


●アマゾン・ドット・コムのBooksサービス
 http://www.amazon.com/exec/obidos/subst/home/books.html/
 インターネット上でのビジネスを成功に導くキーワードの1つは、インターネットのインタラクティブ(双方向)と言う基本機能を活用した市場の創造である。
 これには、主として前記した2例のように既存の業態をインターネットに置き換えてユーザー直結型の<B to C>マーケットとして改革するものと、インターネットなくしては考えられなかった音楽配信のような“挑戦型”の新しいマーケット創造とがある。

 しかし、そこには新しい市場が持つユーザーに対する極大のメリットとサービスの提供がなければならない。
 そうした極大のメリットとサービスの提供が、如何に大切なのかを、ここではアマゾン・ドット・コムのBooksサービスを例にして見ていく事にしよう。

Welcome to Amazon.com Books/メンバーが訪れた場合、過去に購入した履歴を参照する事で、「ハロー!○○さん」と呼びかけ、その人の好みを推測してお勧め本を紹介。(クッキーと呼ばれる履歴を読み取る技術を利用)
Book Search/470万もの書籍の中から欲しい本を一発で検索。
Browse Subjects/こんなジャンルでこんな感じの本が欲しいと言った時に必要なカテゴリー検索。
Featured in the Media/著名各紙で取り上げられた本のクローズアップ。
Bestsellers/毎週水曜日に更新されるベストセラー・ランキング。
Award Winners/各種の賞を受賞した本の紹介。


Vote in our Millennium Poll/今までに一番良かった本やCDなどを投票してもらうインセンティブ付きアンケート調査。
Amazon.com Delivers/推薦本をe-mailで紹介するサービス。
What We're Reading/お勧め本の紹介。
Purchase Circles/会社や地域などのグループ内でいまどんな本が買われているのかランキングするコーナー。(購入者のドメイン名から集計)
Gift Certificates/Amazon.comの商品券を、e-mailまたは手紙で送るサービス。
Associates/誰でもが自分のサイトにAmazon.comを出店させることができる販売代理店制度。


Amazon.com Advantage/独立系出版社やその著者への販売代行サービス。
Shipping Policies/本のお届けに関する最速方法や料金情報
Gift Service/クリック1つでプレゼントが簡単に送れるGift Clickサービス、記念日や誕生日を忘れないように思い出させてくれるe-mailの無料サービス、好みの包装紙で送ってくれるWrappingサービスなどもある。
Help Desk/各ジャンルについて細かく分かれたヘルプデスク。


 こうした極大の各種サービスは、インターネットの上で初めて花開こうとしているのである。



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