
| FDJ社特報/山岡幸雄のアメリカ情報(September 1, 2001) |
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| “不況”でも米国の消費経済を潤す住宅モーゲージの 借り換えによる現金入手が進む! |
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アメリカでは2000年中に、「国民が住宅モーゲージの借り換えなどによる資産売却で得た利益は1,880億ドル(23兆5,000億円/1ドル125円換算)にのぼった」(本紙7月15日号レポート)と報告しましが、「アメリカの経済を支えるモーゲージのリファイナンス」(その運用実態)について、特別にまとめて見ましょう。 このモーゲージのリファイナンスという米国の制度には、日本で今秋課題になっている住宅金融公庫問題と経済の活性化を論じる上で、ヒントになるポイントがいくつか隠されているのではないでしょうか。 最初に、モーゲージのリファイナンスについて、典型的な例を見ておくとコンピューター会社に勤めるCampbell氏(44歳)のケースは、下表のようにまとめられる。 彼は、「何はともあれ生活はエンジョイするものだ」と述べ、彼の近所一帯でも多くの人がこの借り換えを行っている、という。 こうした状況は、最近アメリカ全土に見られる傾向で、特に住宅価格の上昇から借り換えによる臨時の現金収入を得て、それを消費者が消費に回す事で、今年の第1四半期には年率にして消費者出費が3.1%増加。これに関して、サンフランシスコのWells Fargo & Co. の主任エコノミストであるSung Won Sohn 氏は「今日の米国経済における経済安定要素は潤沢な住宅資金に起因する割合が大きい」と分析している。 <コンピューター会社に勤めるCampbell氏(44歳)のケース>
* 1$/120円(8月末レート)で換算 |
| <1> Greenspan議長も認めた330億ドルの棚ぼた |
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ところで、アメリカの経済を支える「住宅モーゲージのリファイナンス」の規模は、全国的に見ると、どれくらいの金額にのぼるのでしょうか。 その測定値の1つとして、各種の政府データとかモーゲージ業界のデータを使う事で、住宅モーゲージのリファイナンス額について算定を行っているペンシルバニア州West Chester にあるEconomy.com 社の調べでは、今年前半6ヵ月間のモーゲージ・ローンの借り換えによるローンの価値は約4,950億ドル(59兆4,000億円/1ドル120円換算=以下同じ)と推定している。 その間、借り換えにより消費者の手元に入った金額は約330億ドル(3兆9,600億円)と推測され、昨年の同時期と比較して、この数字は約3倍近くになっている。 エコノミストの分析によると、これまでは住宅価格の上昇が見られた時には純資産分(equity)の増加で手にできる現金はモーゲージの借り換えなどによって借金の支払いに充てる人たちが多かったのが、今年は住宅物件を抵当に入れた借り換えによるcash-outで現金を入手する人たちの方が多い、と述べている。 この兆候をもう少し詳しく見ると、1998年に同じような住宅価格の上昇が見られた時に比べて、借り換えを行う事で平均して$20,000(240万円)から$40,000(480万円)のcash-out をする人が増えている。 こうした状況に関して、Alan Greenspan米連邦準備理事会議長はこのほど議会で「一般家庭用住宅市場における急速な価値の増強に支えられて、かなりの額の純資産分(equity)が市場に還元している」と証言して、注目を集めている。 米国の経済にとっても初めての体験となる今回の住宅市場の特徴は、1998年当時の経済鈍化時と比べて、以下の表でもみられるように、住宅価格が上昇し続けている事である。 <1998年当時の経済鈍化時に比べた今回の住宅市場の特徴>
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| <2> 不動産ブローカー、Fawley氏の“華麗”なる テクニック |
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この住宅リファイナンス(借り換え)の仕組みは、ここ6ヵ月ほどの間に米国全土で急増しているものだが、当の不動産ブローカーは、こうした現象をどう見ているのだろうか。 不動産ブローカー、Fawley氏の試みは、プロとしての“華麗”なるテクニックといえるのかもしれない。 アリゾナ州のScottsdaleというところは高級住宅地として知られるが、そこで不動産のブローカーを行っているRichard Fawley, Jr. 氏にはこのところ一日に3件から4件ものモーゲージ・レンダー(金融業者)からFAXによる貸付けの案内が届いている。 これはFawley氏が不動産ブローカーだからという事ではなく、彼の持つFAX番号に自動的に送られてくるものであって、いってみれば、立場は一般の家の持主と同じである。 彼と妻のNormaは、1年半前に今の家を$425,000(5,100万円)出して購入した。そして、現在の彼の持家を評価してもらったところ、その金額は1年半で26%ジャンプして$535,000(6,420万円)。その結果、$55,000(660万円)のcash-outを行い、その資金でバケーションに行くのと、New Mexico州のRuidosoに新しい物件を購入する資金の頭金に充当する事とした。 Fawley氏の新しいローンは$380,000(5,220万円)で、彼の毎月の支払額はこれまでに比べて$200上昇して毎月約$3,000(36万円)くらいである。彼の前年の収入は約$110,000(1,320万円)あり、月$3,000の支払いはとくに苦痛でもない。 Fawley氏は、「今回借り換えた事で毎月増える$200は、退職後毎月もらえる年金積み立て制度か、投資信託に毎月$200を積み立てるのと同じだと考えている。今回の投資を行う事でそれによる投資利益が見込める事から、私にとっては確実な投資と同じだと言えるものでしょう」と述べている。 <住宅リファイナンスの仕組み/2次抵当金融との比較>
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| <3> 住宅リファイナンスには賛否両論 |
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住宅リファイナンスは、確かに住宅市場とアメリカの経済全体を活性化させる役割を果たしているものの、賛否両論がある。リファイナンスは行き過ぎると、先のGreenspan議長も指摘のように、アメリカの経済をリセッションに陥れかねないからだ。 <賛成派> アメリカにおいて、このリファイナンス(借り換え)によるcash-outが多く行われる事は、「アメリカ人がそれだけ資金繰りのやり方に長けているからだ」と分析するエコノミストもいる。 これに関して、政府がスポンサーとなっているFreddie Mac と呼ばれるモーゲージ・レンダー(金融業者)のエコノミストFrank Nothaft氏は、「このような消費者はちょうど企業と同じような資金繰り方法をとり入れており、財政面の管理上で統合したコスト削減方法(ポートフォリオ)とか、あるいは新規の投資の方法として採択している」と分析している。 <懸念派> このように個人によるリファイナンス(借り換え)でのcash-outが、米国の財政市場に活気を与えている事は確かなものの、Alan Greenspan米連邦準備理事会議長はこのほどの議会で次のように述べている。 「一般家庭用住宅所有者がリファイナンスによってcash-outを行う事は、結果として消費者出費の下降に繋がるリスクもある」。 それは、ちょうど、Aに対する借金を支払うためにBのところに泥棒に入るようなもので、「一時的な繁栄を示しても、結果としての根本的な経済リセッションを止める事にはならない」という事なのであろうか。 つまり、ある時期(リファイナンス=借り換えで得たcash-outを使ってしまった時)が過ぎると、「経済繁栄への貢献度が落ちるうえに、その時点での国民の負債額は増えている事から、リセッションを加速させる事になるのではないか」という懸念材料があるのだ。 さらに悪いシナリオとして考えられる事は、「経済リセッションに陥って家庭収入額が下がるような事があると、その時点では借入金支払い額が増えている事から返済金額も大きく、ローン返済が難しくなる人も出てくるだろう」という心配である。 ◎アメリか人は皆陽気だといわれるが、まったくその通りで「毎日自分のために太陽が登ってくる」ような気分で暮らしており、今日が駄目なら明日があるさ、といった感じの人が多い。 ◎とくにカリフォルニアもロスに住んでいると、冬の一時期を除いて雨が降る事もなく毎日が青天井であるために明日の事を思い煩う事もない。よくカリフォルニア病と揶揄されるが、最初のころは今日が何曜日かは判っていてもしだいに何日か判らなくなり、スーパーマーケットで買い物をしてそこで小切手を書く時に「今日は何日だったか」と聞くような有様になる。 ◎お金の管理も、以前は勤めで毎週小切手が支払われる制度が多かったのと、今でも隔週に小切手で支払われるところが多く、金がなくなっても後、2〜3日すれば金が入る、といった様な気分で暮らしている人たちが多いものと考えられる。 ◎住宅リファイナンス制度は、そうした風土と国民気質の上に花開いているのかもしれませんが、現在のアメリカ経済を支えているという面では、日本で金融公庫問題を考える上でも無視できないテーマではないのでしょうか。 (筆者の感想をまとめさせて頂きました) |
| コンサルタント/米国ロサンゼルス在住 山岡 幸雄氏の略歴 E-mail:Yukio-Yamaoka@home.com 在米20年を超え、日米でUCLAの大学院を含め計20年間学校へ通う。日本では英国大使館に勤務した経歴を持ち、アメリカでは米国国務省の通訳としての資格を持つ。現在は、カスミ不動産での不動産業務の他もっぱらコンサルタントして活躍している。 |
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